【オスキツ国】第3話 王家の掟【ティム王子攻略編】
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王家の掟
ごめんねレリアさん、父さんのわがままに付き合わせちゃって。
僕たちは昼頃まで麦の収穫があるから、また夕刻に闘技場で
うん! じゃあ、また後で!
192年5日。
今日は騎士隊トーナメント開会式のことで頭がいっぱいで、朝から麦の収穫があることを完全に忘れていた。
この国の納税にあたるのがギート麦の納品。
あたしのような新規移住者は移住費用の5000ビーに含まれているから初年度は免除されるんだけど、25日に来年の分を植えに行くのだけは覚えておかないと。
というわけで朝の間は他の旅人や移住者と一緒に農場を見学して、昼からは市場までインテリアを見に行くことにした。
フラワーランドのエスティンさんに聞いてみてもお城にあるような壺はないらしく、お礼を言って大きないむぐるみを買って帰る。
これでウィアラさんのミッションもクリア!
……別にぬいぐるみがないと眠れないわけじゃないから!!
騎士隊トーナメント開会式
うわっ、あたしの試合アンテルムと丸々かぶってるじゃん!
見たかったのに~!
昼4刻、あたしは闘技場前のボードで2つのトーナメント表を見比べていた。
あたしとアンガスの試合が7日で、アンテルムの試合も同日同時刻。
応援には行けないとしてもせめてお守りは持たせてあげよう。
夕1刻、いよいよ騎士隊トーナメントの開会式が始まった!
オスキツ陛下は闘技場の奥にいらっしゃり、真っ赤な絨毯の上には専用の椅子まである。
お隣には神殿で見かけた黒ずくめの人がいて、王国の花形であるローゼル近衛騎士隊は総勢16名!
アンテルムはどこにいるんだろう?
レリアさん、こっちこっち! いい席取っておいたから。
飲み物はミックスジュースでいい?
ありがと! あたし、甘いの大好きなんだ~!
もぐ……レリアちゃんはオレと同じで甘~いジュースが好き、と。
オレからはクリスプポト、あーんしてあげる。
それとも口移しの方がいい?
どっちもお断りなんだけど!!
アンガスは名残惜しそうに最後の1つを口に放り込む。
すると、何も言わなくてもティムが空になったバケツを持って席を外した。
本当、いいお兄ちゃんというか今はただのパシり?
ねえ、上にいる司会の人って誰なの?
黒い服だし陛下の横にいるってことはもしかしてあの人が議長さん?
神官だよ。モテるけど中身はただのじいさんだから騙されないでね。
ちなみにオレ、こう見えて神官の資格持ってるんだよね~
……惚れ直した?
後半は聞かなかったことにしよう。
ということは昨日アンガスが神殿をうろうろしていたのはたぶん仕事の関係。
いまいち信じられないでいると、アンガスはいきなりシャツのボタンを胸元が見えるように外し始め、シズニ様を模したペンダントとなんか色々見せつけてきた!
このペンダントこそが国内でも数人しか称号を持たないらしい「シズニが導く者」の証。
その上位称号となる「真理を伝える者」を唯一持っているのが神官なんだけど、不真面目で女癖の悪いこいつがその後継者(候補)なのが不思議で仕方がなかった。
言っとくけどあたしが好きなのはあんたじゃなくてティ……
あわわわ! ティ、ティムってば戻ってきてたの!?
うん。レリアさんはそんなに慌ててどうしたの?
アンテルムには誤解を解くためはっきり言っちゃったけど、アンガスの前でうっかり口を滑らせるわけにはいかない。
そんなことより、開会式に集中しないと!
アンテルムは最後列の端にいた。
昨年度の選抜決勝戦で戦った新入りの騎士隊員が並ぶのがそこで、たとえ王族でもスタートはまず平の近衛騎兵からなんだ。
騎士隊長の合図で後ろにいる15人の騎士たちが剣を掲げ、客席からも歓声があがる。
アンテルムを含む多くの騎士は正騎士の剣、前列に多い隊長経験者はワンランク上のローゼルの剣、真ん中の男性騎士だけが他とは違う青い剣を持っている。
アンテルム君、かっこいいでしょ。
斜め前にいる勇者の剣を持った人があの子の先生でね、昔エルネア杯で優勝したことがあるんだって
ティムによればあの青い剣はエルネア杯で優勝した勇者の証。
ローゼルの剣よりもランクが高く、この国で剣の道を志す者なら誰もが憧れる逸品だ。
ちなみに今日の試合はいわゆる騎士隊長による「洗礼」だった。
ショルグと違って強さに応じてランク分けされるわけじゃないから、どうしても新入りの人が負けちゃうのかな。
んじゃオレはお邪魔だから退散っと。
今夜は誰と遊ぼっかな~
開会式が終わるとアンガスは(空気を読んで?)ふらふらとどこかに行ってしまう。
享楽的な男らしく夕刻からはナンパに励むみたい。
一方でアンテルムはお守りやモフ毛を持った女の子に囲まれていて、とてもじゃないけど話しかけられる状態じゃない。
時間も遅いし、今日はティムと2人でどこまで行けるか試してみよう。
ティム、あたしたちも行こっ!
今日こそは2人で魔獣の森をクリアするんだから!
こんな所で突っ立ってたらまた追っかけの子に捕まっちゃうよ~!
ま、待ってよ~
――それから1刻後、魔獣の森から出てきたあたしとティムは期待に反して満身創痍。
逃げるのに必死でせっかくの戦利品も全部置いてきてしまったし、この前は思った以上にアンテルムに頼っていたことを痛感した。
くやし~! あたしたちの力じゃこれが限界なの!?
今度は騎士隊の人に護衛をお願いしようか。
回復薬やトラップサーチの準備も忘れずにね
―エルネア城王家の居室―
ところでティム、それは何だ?
この前父さんがレリアさんとのトレーニングを勧めてくれたでしょ?
アンテルム君がダダン液を分けてくれてね
あの子、朝から晩まで僕につきっきりだからヘトヘトだよ
移住者の女の子と秘密の特訓でヘトヘトねぇ……
これは面白いことになりそう
※ダダン液=プロテイン的な
ティムとの温度差
昨日は途中で帰ってしまったのを反省して、今日はたっぷりと薬やアイテムを買い込んでから騎士隊の人に頼んで護衛についてもらった。
さっすがプロの武術職!
武器は拾えなかったけど、あたしもティムもちょっとだけ強い技が使えるようになったんじゃない!?
そうだね。あ、アンテルム君だ
ダンジョンから出たところでアンテルムを見かけたので、騎士隊の人にお礼を言って獣道の方を覗いてみることにした。
アンテルムはあたしたちに気づいていないようで雨に濡れた前髪をかき上げゲーナの森へ。
近くの立て札にはゲーナの森は魔獣の森より難しいダンジョンだって書いてあるけど、ちょっと覗いてみるだけだから!
ティムの腕を引っ張って入り口近くまで連れて行ったものの、深い霧が邪魔をして先には進めない。
ちょっと息を吸っただけで呼吸が苦しくなってきて、急に怖くなってへなへなと座り込んでしまった。
げほっ……アンテルムってば、あんなやばそうな所に入っちゃったけど大丈夫なの!?
この辺りは瘴気が濃いから近づいちゃダメだよ。
ここに入っていいのは王族と武術職の人だけだから
武術職は難易度5のダンジョン全てと役職ごとに難易度7のダンジョンの探索権がある。
あたしのような一般国民は難易度3のダンジョンまでが限界で、ティムたち王族は武術職の護衛をつけるか(どうしてもの場合)自己責任で難易度5のダンジョンに入ってもいいんだとか。
今の僕たちなら深い森の方が合うんじゃないかな。
まずは難易度2のダンジョンのクリアを目指そうよ
え〜!
そんなんじゃいつまでたっても強くなれないし、試合までもう時間がないのに!
無理して難しいダンジョンに入って引き返すよりも、今の強さに合ったダンジョンを確実にクリアする……ティムの言うことも正しいと思うんだけど、試合が刻一刻と迫っていたあたしたちは短期間で強くなる必要があった。
だってティムが次の試合で負けちゃったら陛下に顔向けできないし、あたしも強い武器を拾えないままで正直かなり焦っていたから。
今思えば、ティムとの温度差はこのときすでに感じていたんだと思う。
王家の掟
あたしは雨宿りを兼ねて魔獣の森にティムを引っ張っていくことにした。
ティムがダンジョンに入ると同時に国民の女の子が3人ついてきて、この中の誰かを狙っていそうな男が1人やってくる。
続いてやたらとモテると評判の神職が若い異性を引き連れて、さらに彼ら目当ての異性が続々と集まって……
ダンジョンの入り口はあっという間に独身男女でいっぱいになってしまい、即席の婚活会場のできあがり?
何角関係よこれ! もうドロッドロじゃない!
ここにいる独身女性のうち大半の目的は間違いなくティムで、周りにいるのは彼女たち目当てに群がる独身男性。
同じ王子のアンテルムやアンガスもモテるんだけど、年齢的に結婚まで秒読みのティムが本命って人は本気度が違う感じ。
……と思いきや、婚活は同時進行らしく何人かは別の男の人がお持ち帰り。
まったくもう、愛パーティーじゃないんだから……
こっちは真面目に修行しに来てるのに!
そんなゆるんだ雰囲気に扇動されてか、あたしには1つの名案が浮かんだ。
あたしとティムが付き合っちゃえばいいんだ!
お互いのプロフィールカード裏に恋人として名前を書いて、仲良く手を繋いで歩いたりしたらすぐに噂は広まって……完璧な作戦かも!
ねえティム、あたしたち、付き合ってることにしない?
あくまでフリだからいつも通りに接してくれていいし、あたしとティムが恋人だって噂が流れたらこれから面倒なこともしなくて済むでしょ?
……それはできないよ。
これは言いにくいことなんだけど……
渋々とはいえずっとトレーニングに付き合ってくれていたティムから返ってきたのはあたしを突き放すような言葉。
王族やめちゃえば、なんて冗談を言っても笑って流してくれたのに、今は明らかな拒絶の意思がうかがえた。
王家には掟があるから、僕とレリアさんは恋人になることも結婚も許されない。
この国の人は皆そのことを知ってるからすぐに気づかれてしまうよ。
もっと早く言っておけばよかったんだけど……
何よ、そんなマジにならなくていいじゃん!
ひどい! ひどすぎるよ!
……あんたなんて大っ嫌い!!
あっ、待って……
ついてこないで! あっち行ってよ!
(ちょっと下心はあったけど)あたしはティムの夢を応援して、女の子たちから守りたかっただけなのに……
涙と鼻水でぐしゃぐしゃになった顔を見せたくなくて、とにかくティムから離れるように遠くへ走る。
途中たくさんの女の子(話したことはないけどよく見る顔)とすれ違ったけれど、今は振り返っちゃいけないんだから!
あたしの家族
はぁ、陛下に何て謝ろう……
ティムにもフラれちゃったし、あたし、コーチ失格だよ……
あれからあたしは走りに走って、ドルム山を登った先にあるニヴの丘でぼんやりと空を眺めていた。
座れそうな岩に腰かけて一息つくと、どこからか何組もの夫婦が入れ代わり立ち代わりやってくる。
まるであたしなんか見えていないかのように、仲良く手を繋いだり肩を寄せ合ったり腰に手を回したり……鼻先が当たるくらい顔を近づけたり!
(もしかしてここ、デートスポットだったの!?)
傷心のあたしにこの場所は精神衛生上良くない。
帰ろうと腰を上げた瞬間、とどめと言わんばかりに目の前の夫婦の熱〜いキスが視界に入って残りライフは0。
あたしだって知ってたら誰かと一緒に来たかった!
こんな所、二度と来るもんか! フン!!
――ティムに言われたことを思い出すと、鼻の奥がじわじわと痛くなってくる。
山岳兵が作っていたガラス板に映るあたしの顔はひどいもので、泣き腫らした目と乾いた涙の跡は超がつくほどブサイク。
情けない顔を見られないように下を向いて歩いていると、山道から家路を急ぐ親子や夫婦、幼い兄弟とすれ違った。
ちょっと前まではあたしだってこんな生活してたのに……
これがあたしの家族。
父さんと母さん、それから兄貴がいるごく普通の家庭だった。
だけど、あたしは本当の両親を知らない。
真ん中に立っているのがあたしの父さんだった人。
小さい頃、ジマショルグ長だった父さんの家に引き取られて、母さんはあたしが入学した頃にワクトの神々の元へ。
父さんは実子の兄貴と養子のあたしを男手一つで育ててくれたんだけど、兄貴が成人した年に女を作って再婚を考え始めたらしい。
あたしは血が繋がっていない兄貴のことが好きだったけど、父さんが再婚した日の午後に兄貴も結婚して、逃げるように家を出て行ったんだ。
それからすぐに父さんも死んじゃって、あたしは新しいお母さん(というか赤の他人)と小さな家で二人暮らし。
もう、何もかもが嫌になっちゃった。
――人にはいつか別れが訪れる。
あたしの場合、たまたまそれが早かっただけなんだろう。
とにかく早く家を出たくて深夜こっそりと乗り込んだ船は外国に向かう漁船だったらしく、漁師のおっちゃんに捕まっ……拾われてエルネアにやってきたってわけ。
言葉はそのときに気合いで覚えた。
兄貴のことも最初から諦めるしかなかった。
同じ家で暮らす以上血が繋がっていなくても兄妹は兄妹。
ティムを好きになったのも、きっと初恋の相手に似た人に甘えてみたかっただけなんだ。
と、暗い話はおしまい!
今日はショックなことが多かったけど、いっぱい食べていっぱい寝れば大丈夫!
明日は何食べよう……春ならやっぱりゲゾフライ? それともアヒージョ? 春のビスクもいいな!
そんな感じで考え事をしていたら、噴水通りのど真ん中で誰かにぶつかってしまって慌てて謝る羽目に。
すっ、すみません! 気をつけます!
あら、ごめんなさいね。
……ってちょっと、ひどい顔じゃない!
殿下!? どうしてこんな所に……むぎゅ
街灯の下でぶつかったのはなんとテレーゼ殿下。
殿下はあたしの顔を見るとすぐに抱きしめてくれて、泣きやんだつもりが大きな声で泣いてしまった。
落ち着いた?
じゃあ、温まってから帰りましょう
時刻は夜3刻。
人通りもほとんどなくなって、帰る前に殿下とお風呂に入ることに。
……さっきはどうして泣いていたのか、アタシに教えてくれるかしら
たっ、ただのホームシックで!
本当にたいしたことじゃないので……!
もしかしてティムのこと?
ふわっ! ぶくぶく、ぶくぶく!
あたしがティムにフラれたことは殿下のお耳にまで届いているようで、涙の跡を隠すように顔を洗い流す。
何度かゴシゴシして落ち着いたところで口を開き、全てを打ち明けることにした。
……おっしゃる通りです。
あたし、ティムのことが好きで……追っかけの女の子たちから守ろうと思って、
付き合ってることにしようって言ったら……
でしょうね。
あの子は恋愛や結婚のこととなると、いつも深刻に考えてしまうから
そのときはいい考えだと思ったのに、フラれてからは頭の中が真っ白。
その現場を魔獣の森に詰めかけた大勢の人に見られてしまい、作戦は大失敗に終わったのだった。
これ、ティムがくれたのよ。
安産祈願のお守りでね、肌身離さずつけてるの。
赤ちゃんが無事に生まれたらあの子も自由になるお許しが出るかもしれないんだけど……今も気持ちは変わらない?
はっ、はい!
あたし、あのときはひどいこと言っちゃったけど……本当は今でもティムが大好きなんです!!
優しいしあたしのわがままにも付き合ってくれるし、こんな人と家族になりたかったなって……
あたしは殿下に家族がいないことを話した。
もちろんあたしをここまで育ててくれた養父母のことは大好きだけど、今は1人ぼっちだから。
あの子は繊細だから、普通の人よりずっと人の気持ちに敏感で傷つきやすいの。
あの子が優しいからこそ傷つく人もいる……だから、あなたにははっきり言うことにしたんでしょうね。
王家の掟のこと、黙っていたらもっと傷つけることになるから
ティムがあたしを振ったのはあたしのことが嫌いだったから適当なウソをついたのではなく、本当に結婚できない相手だったから。
ティムは王族であたしは外国人なんだし、仕方なかったといえばそれまでだ。
あたし、フラれてちょっぴり大人になりました!
失恋の1回や2回は人生のスパイスっていいますし、こんなのだいじょ……
わーーーーっ!!
狙ったように足の近くに石鹸が落ちていて、あたしは殿下の前で思い切り尻もちをついてしまった。
大人になったと思った矢先にこのザマで、自分でも先が思いやられるくらい。
殿下って、お母さんみたいです。
あたしを育ててくれた母さんも好きでしたけど、生まれるなら殿下みたいな人のところがよかった……
やだ、お母さんなんて!
アタシまだ大きな子供がいる年じゃないから、お姉さんって呼んでくれた方が嬉しいわ
はい、じゃあお姉さんで!
3人の弟がいる殿下だけど、本当は妹がほしかったとおっしゃってくれた。
それからはまた2人で噴水通りを歩く。
殿下がお住まいのA区の前に差しかかったところで、
よかったらこのまま泊まってく?
あっ、いえ!
そんな、これ以上ご迷惑をおかけするのも申し訳ないので……今日はありがとうございました!
今夜は嵐。
一人暮らしのせいか揺れる窓や激しい雷にびっくりして、大きないむぐるみを抱きしめてベッドで横になった。
……あたしじゃなくて、ぬいぐるみが震えているような気がしたから。
―エルネア城ティムの部屋―
子イムちゃんたちから聞いたよ。
レリアちゃんのことこっぴどく振ったって
王家の掟がある以上、黙っていれば余計に傷つけてしまうだろうから
だったら一度くらい夢見せてやればよかったのに。
独身の間にあの子と楽しい思い出作っときなよ
夢を見せる、か……そうだよね。
ありがとう、アンガス君。おかげで目が覚めたよ
(えっ! オレ褒められてる!?)
――2人の指す意味は違うのだろうけれども。
ティムは以前レリアがしてくれた家族の話を思い出す。
養子の彼女が明るくまっすぐに育ったのは、両親が本当の子供のように愛情を注いでくれたからなのだろう。
ティムはそんな彼女を突き放してからずっと自分を責めていた。
子イムのように純真で朗らかな彼女の笑顔を失って初めて、その存在の大きさに気付かされたのだ。
僕のことを笑わないで全力で向き合ってくれたのはレリアさんが初めてなんだ。
あの子は僕の代わりに笑って、泣いて、出会ったばかりだけど毎日違った表情を見せてくれて……
あの子と出会うまでは明日を迎えるのが怖かったのに、明日もまた会いに来てくれると思ったら気持ちが少し楽になった
レリアちゃんって、子イムみたいで面白いよね。
最近のティム兄、よく笑うようになったけどさ……今は抜け殻みたい
一緒にいるだけで元気をもらってたのかな。
でも、僕がひどいことを言ったから嫌われてしまったみたいで……今度会ったら謝ろうと思うんだけど
むじゃきな子ってウソがつけないから、嫌いって言ったのも本心じゃなかったりして。
レリアちゃんってプルトの子でしょ?
仲直りしたら夜まで待って「明日、遊びに行かない?」って言ってみてよ
夜遅くに? 失礼じゃないかな……
あっちじゃ男と女は夜に会うのが常識。
あの子噴水通りで一人暮らしだし、OKもらえたらそのままいいことあるかも
192年6日、夜4刻。
試合前日の夜はこうして更けていった。
【次回予告】
いよいよ始まった騎兵選抜トーナメント。
アンガスとの戦いで窮地に追いやられたPCレリアだったが、絶対に負けられないと起死回生の行動に出る。そして、試合は一波乱を迎えることに。
次の記事>>>第4話:波乱のトーナメント幕開け
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今までの話を振り返るか?
……アンガスのヤツ、後で説教が必要だな
次の話はこの下だよ!
アンガスってば試合前に変なことして、絶対許さないんだから~!