ねばぷれ

エルネア王国のプレイ日記と攻略ブログです。モニカ国・オスキツ国・海外版Kane国を中心にプレイしています。ワーネバシリーズはプルトなど過去作もプレイ中!

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【オスキツ国】第1話 第2王子ティムの憂鬱【ティム王子攻略編】

記事内にプロモーションを含む場合があります

はじめに

ティム王子攻略シリーズについて

初代でオスキツ国のティム王子との結婚を目指す奮闘記です。
彼を騎士隊長にすることで王族判定を外し、最短の195年に結婚することを目標にしています。

※この記事はプレイ日記のため攻略要素は少なく、ゲーム内の出来事を元に生まれた妄想を書き綴っています。
初期国民のキャラ付け等個人的解釈が多く含まれるのでご注意ください。

独身王子の真面目な攻略情報をお探しの方はこちらをどうぞ!

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ティム王子のプロフィール

ティム・ブヴァール

名前:ティム・ブヴァール
役職:王子(第2子)
誕生日:182年23日
年齢:9歳
性格:繊細なムード

長い黒髪が麗しく、お父様のオスキツ陛下そっくりの凛々しいお顔ながら性格は正反対の繊細なムードと、どこか物憂げでミステリアスな雰囲気のティム様。
エルネア国民ならおそらく誰もがご存知のアンテルム王子とアンガス王子のお兄様です。

【2018年6月現在】他の方のブログやTwitterを拝見する限り、弟のアンテルム王子やアンガス王子が騎士(や神官)として活躍する一方で、王家を出た後のティム王子は一国民として慎ましく暮らしている(庶民の味方?)ことがほとんど。
役職に就くとしたら農場管理官で騎士隊にいるだけで珍しがられるほど…
性格も繊細なためか温厚で争いを好まず、世間では控えめで優しいお兄ちゃんというイメージが強いのではないでしょうか?

そうそう、実はオレと同じで192年はティムも騎兵志願してるんだぜ。
騎士隊長にすれば結婚できるかもよ?

そんな噂を耳にしてからはいてもたってもいられなくなり、Switch版でオスキツ国へ入国!

初代PCについて

初代レリア・ランフランク

レリア・ランフランク6歳!
母国プルトで体術を学び、陛下よりティム様の専属コーチを命じられましたッ!

繊細相手ならむじゃきだよね~くらいのゆるいイメージで明るく活発そうなショートヘアの女性PCを作成。
名前はおまかせでメインでプレイしているモニカ国の初期姓が出たところで決定しました。

第2王子ティムの憂鬱

家出少女レリア、エルネア王国に降り立つ

あたしはレリア・ランフランク。
プルトからの漁船にまぎれて本日無事、家出に成功!
成人式を迎える前に国を出ちゃったけど、これから暮らすエルネア王国じゃ6歳は立派な大人*1なんだ。

まずはこの国の案内役らしいウィアラさんのお使いをこなして帰化に必要な5000ビーを貯めないとね。
ここの市場もヤーノ市場なんだ? まあ、どこに行っても大体そうか。

うわ~すっごい人! もしかして今日って何かの祭とか?
わわっ、黒髪ロングのイケメン発見!?
今、目が合っちゃったかも……?

ティムとの出会い

こんにちは! 今日ってお祭りでもあるんですか?

いえ、今日は普通の日ですけど……
お祭りなら8日に収穫祭、それから20日に星の日がありますよ

そうなんですか!? あたしってば田舎者丸出しではずかし~!
あっ、ウィアラさんからお使い頼まれてたんだった!

……これが恋の始まりだったんだと思う。

今日は192年3日。
プルトと違ってエルネアでは成人や移住と同時に武術組織に入ることはないようで、3つある組織のうち2つが志願制。
人間よりも複数の魔物と戦うことが多いこの国では武器と魔法を使った戦い方が一般的で、あたしの特技をフルに活かせそうなところがないのはちょっと惜しい。
ま、移住先でも武術を続けられるならどこだって嬉しいんだけどね!

今年募集があるのはローゼル近衛騎士隊かな?
さっき入国したばかりだけど、来年には武術職になれるっていう騎兵選抜トーナメントに登録するため初日から大忙し!
これを逃せば白夜が明ける再来年まで志願できないって聞いたからとにかく急がないと!

って、あーーーっ! あの人の名前聞くの忘れてた!!
じゃなくって、5000ビーが貯まったら図書室のミアラさんに申請書をもらって、それから練兵場で登録だ!

酒場を出てちらっと見えた市場――特に武器屋の前はありえないくらいの人だかり(何故か女の人ばかり)で、まさに女たちの戦場って感じ。
こんなに騒がしいんだし、祭じゃなかったらバーゲンとか?

192年度選抜トーナメント表

日付は変わってしまったけど、思い切り走ったおかげでなんとかギリギリでトーナメントに登録成功。
初戦は7日に決まった。

ヤーノ市場の広告塔?

国民になったことだし、まずは新しい武器を買いにいこう!
なんとなくあの人に会えそうな気もするし!

と意気込んだものの、大金に加えて見たこともない宝石まで要求するぼったくり価格の武器の数々に目玉が飛び出しそう。
店主のおっちゃんは噂によれば昔どこかの国でバグウェルを倒したそうで、作った武器は宝箱に入れてダンジョンの奥に隠してあるとか。
武器を買っていった人は何人か見かけたけど、強い武器はダンジョンで探せと言いたげで、あたしみたいな貧乏人に売る気がないのはちょっとムカつく。

そんなことより……

帰化の挨拶

武術の筋骨堂前の人だかりの中心にその人はいた。
背が高いから周りにたくさん人がいてもよく見えるし、服の色も違うから遠くからでもけっこう目立つ。
やっぱりここに来れば会える気がしてたんだよね!

ランフランクさんも騎兵を目指してるんだってね

うん! あたしのことはレリアでいいよ!
って、なんであたしのこと知ってるの!?

僕はティム・ブヴァール。
今年のトーナメント出場者のことは全員把握してるから

ティムは長い黒髪と落ち着いた雰囲気がとてもミステリアスな印象。
もしかして、ここにいる女の人って全員ティムが目当て?
昨日も何回か筋骨堂の前で見かけたけど買い物というわけでもなさそうだし……

レリアさん、よかったら僕に合う武器を選んでくれる?
防御型のパリングダガーかバランス型のフォレストセイバーで迷っててね……

ティムは市場で看板を手に客寄せを頼まれていたようで、商売繫盛のお礼に初心者向けの★1武器から好きなものを1本選ぶように言われていた。

武器種 品名 価格 必要資源
片手剣 フォレストセイバー 1,000 クオーツ×30
両手剣 フォレストブレイド 1,000 クオーツ×50
双剣 フォレストナイフ 1,000 クオーツ×40
盾剣 パリングダガー 1,000 クオーツ×50

あたしが選んでいいの?
じゃあ、フォレストブレイドください!

ええっ!?

男はもっと大胆に行かないと!
でかい剣だとダンジョンの魔物も一気になぎ払えそうだし、試合でもずばーってしたら超かっこいいじゃん!

あ、ありがとう……

後でわかったのは、実はティムも選抜トーナメントに出るみたいで初戦は反対ブロックの10日。
あたしの対戦相手は弟のアンガスって人らしいけど、どこかで聞いたことがあるようなないような……
アンガスなんてよくある名前だし、騎士になるためならどこの誰が相手でも叩きのめしてやるけどね!

王子様の結婚?

酒場の客室に荷物を取りに戻ると、同じ日に入国した旅人の女性が話しかけてきた。

あなた知ってた?
もうすぐこの国で王子様が結婚されるんですって

噂によれば10日の夕刻、この国の王子様の1人が結婚相手を発表するという。
王子とか結婚とか、あたしには一生縁がなさそうなことだけど、ティムの試合が終わったらゴシップ掲示板を見に行こうかな。

酒場を出るとティムは筋骨堂の前にまだいたようで、おっちゃんに頭を下げると1人でどこかに行ってしまった。

ティム見っけ! ねえねえ、あたしも一緒に釣っていい?
まあいいや、ヒマだから1人で釣っちゃお!

ティムは水源の遊歩道で1人釣り糸を垂らしていた。
ぼんやりしているというよりも何か考え事をしている(深く悩んでいる?)ようで、あたしが隣で釣りを始めるまで顔を上げなかったくらい。

……不思議な子だね。
ちゃんと虫よけもしてるのに……もしかして僕のあとをつけてきた?

ん~、ティムって香水つけてるでしょ?
今まで嗅いだことないにおいだったから覚えちゃった!
邪魔だったらあたしのことは子イムだと思っといて!

君、面白いね。
僕はしばらくここで釣りしてるから

そこからは2人とも無言で釣ってはかごに入れての繰り返し。

ウィアラさんからもらった導きの蝶……さっきは忘れていたけどこれを使えばもっと簡単に会いたい人のところに行けるんだっけ。
明日ティムと遊びに行きたいなーなんて思ったけど、脈もなさそうだし今から誘える空気じゃないかも。
え? 別に気にしてないよ。
真面目な人ほど外じゃいつも黙々と仕事するのが普通だから。

レリアさん、ひいてるよ

ふわっ!? ななな何これでかっ! ステーキ何人分!?

あらら、惜しかったね

今の魚影、控えめに言ってあたしの10倍くらいあった。
「ナンデモツレール」なんて詐欺みたいな名前の餌で釣れたのはほとんど小魚だったし、たまに大きいのがかかったと思ったらバザーンくらい。
餌もなくなってティムが釣るのを見ていたらちょっとだけ分けてもらえた。
虫よけなんて使うくらいだから他人に興味がないのかと思えば普通に接してくれるし、話しかけても嫌な顔はしないから正直何を考えているのやら。

あ、そうそうティムは知ってる?
酒場で聞いたんだけど、王……も~! なんで今引っかかるの~!

くすくす……魚は待ってくれないからね。
竿はこの辺に置いて座ろうか、その方が落ち着いて話せるし

それはあたしに落ち着きがないって言いたいわけ?
ティムはそれ以上何も言わないし、あたしも自覚があるから黙っておく。

あのさ、もうすぐ王子様が結婚するってホント?
10日の夕刻に相手が発表されるみたいだけど……

そうか……もうそんなことになってしまったんだ

その話をしてからティムは浮かない表情で大きくため息をついた。

うわっ、ごめん! 何かまずいこと聞いた?
もしかして王子に彼女取られちゃったとか!?

その王子、僕のことなんだ。たぶん……

ええーーーーー!? ティ、ティム……さまが、ううう噂の王子様!?
確かに言われてみたらなんか王子っぽい感じしてるかも!
あっ、あたしってば何言ってるんだろ……気づかなくてすみません!!

いいのいいの、僕と話すときは今まで通りで。
プルトは王国じゃなくて共和国なんだっけ……びっくりさせてごめんね

あたしにとってティムは生まれて初めて出会った本物の王子様だった。
びっくりしすぎてこれ以上言葉が出てこないけど、衝撃のあまり座ったまま腰が抜けてしばらく立ち上がれなかったくらい。

なーんだ、ティムは結婚しちゃうのか~
ちょっといいなって思ってたのにな……さてと、さっきの大物釣るぞ~!

テレーゼ殿下と未来の王様

さっきの大物がかかるのを待っている間は、あたしがこの国に来るまでのことや、お互いの家族の話をした。
王制ではなく共和制の国で育ってきた以上、王族の「華麗なる暮らし」にも興味あるし。

あたしはね、ジマショルグ長の養子だった。
母さんは小さいときに死んじゃったけど、父さんがショルグ長だったから結構いい暮らししてたよ!
でもね……ううん、何でもない

家出の原因になったその後のことは言わなかった。
父さんの再婚とかその次の日にワクトの神々の元に行ったことはともかく、新しい母親や同じ日の午後に結婚して逃げるように家を出ていったバカ兄貴のこととか。
だいたい、養父の再婚相手なんて「他人」じゃない?

僕は父さんが国王なんだ。
城にいるのは両親と弟2人で、王太女のあねきは結婚して今は別居してる

何してるの?

話の途中だけど、水道橋の方からやってきた淡い髪色の美女にあたしは目を奪われた。
はっきりとした顔立ちはもちろん、服装はティムと同じ金の刺繍が入った上質な緑色の服。
上品な立ち振る舞いからさっきの話に出てきたお姉様で間違いない。

テレーゼ殿下ですよね!
お初にお目にかか……わっ! さっきのヤツ!? ひ、引っ張らないで〜!

よりによって殿下の前で大物が食いついたようで、黄色い魚が水面から顔を出す。
釣竿を必死で握りながら橋から落ちないようにふんばるのがやっとで、腕も足もそろそろ限界。

……釣ってからにしましょう。ティムも見てないで手伝ってあげて

た、助けて〜!

釣れたのはローナという白身魚
大物が釣れたのは嬉しかったけど、大きな魚を抱えながらお話することになってしまってものすごく恥ずかしい。

先ほどは失礼しました!
先日移住することになりました、レリア・ランフランクと申します!

ええ、よろしく。
アタシの家は噴水通りにあるからいつでも遊びにいらっしゃい

殿下がこちらに近づいてきたと思うと、小声で恋愛相談にも乗るから、とおっしゃった。
なんだか心の中が見透かされたような気がして、水面に映った顔もやっぱり真っ赤。
あたしって、そんなにわかりやすいかなぁ……って、ダメダメ! ティムはもうすぐ結婚するんだから!

そうそう、追っかけの子たちがあなたのこと、また探し回ってたから避難するなら今のうちよ。
じゃあ、アタシはこれで

殿下は去り際にティムの耳元で何かをささやかれた。
2人ともすごく嬉しそうに見えたけど、何の話だろう?

最後の試合と結婚までのカウントダウン

――エルネア城王家の居室――

さっき、殿下と何の話してたの?

あねき、赤ちゃんができたんだって

殿下の赤ちゃんってことは、未来の王様!?
じゃあ、ティムは王様にはなれないの?

そうだね。エルネアでは1番上の子供が次の王や女王になるんだ。
僕は長男でも2番目だから、元々王位継承権はあってないようなものだけど……

次期女王陛下のテレーゼ殿下に子供ができたことで、ティムが国王になる可能性は完全になくなってしまったんだって。
元々いつか王家を出ることが決まっていた弟たちは騎士(や神官)としてお父様の支えになろうとしているけど、2人と違って平凡な王子らしいティムは将来を模索中。
王族なのに何よ平凡って。

選抜、ティムと戦えるのは決勝戦か~!
でもなんでわざわざ初戦と同じ日に婚約発表するんだろうね?

10日は僕にとって「最後の試合」になるだろうから。
上のアンテルム君は騎士隊に入って、下のアンガス君は今年成人して騎士を目指してるけど神官の資格もある。
僕だけがいつまでも家にいて両親に迷惑をかけるわけにはいかないからね

そんなことを言ったせいか、世間では都合良く解釈された噂が広まっていよいよ本当に結婚へのカウントダウンが始まってしまったと。
この国は他の国より独身女性が多いみたいで、春なのに妙に蒸し暑く感じるのも玉の輿を狙う彼女たちが沸き立っているせいだったりして。

ちなみにティムのプロフィールカード裏を見せてもらうと、

【ステータス】ハヤサ134/チカラ156/ココロ79
【装備】★1剣
【スキル】全てN
【戦績】0勝3敗
※入国直後の状態です。
成人した188年から毎年(白夜の189年を除く)選抜トーナメントに出場するも、3回とも初戦敗退。
192年は4回目の挑戦となるが…という感じでしょうか。

ハヤサも志願者の中では低い方らしいし、何よりメンタル面で大きな課題あり
そういえばあっちでも積極性が低く優しい性格の人は試合じゃ相手と距離を取ることが多いから、いわゆるワイルダーには負けてしまう。
つまり、いい子は武術で活躍するのは難しいってこと。
このままだと相手が遅刻するか奇跡でも起きない限り勝てそうにないかも。
プルトではNPCの行動に性格が大きく反映され、試合に遅刻すると不戦敗になります。

共和国民の奇策

テーブルにはたくさんの独身女性のプロフィールカードが置きっぱなしにされていた。
どれもこれも屋敷育ちのお嬢様や女性騎士と、いかにも王子の婚約者候補って感じの人ばかりでちらっと見ただけでうんざり!

じゃあ聞くけどさ、この中の誰と結婚するの?

うーん……

ほら、やっぱり決まってないんだ!
本当は結婚するつもりないんでしょ?

そういうわけじゃないよ。
いい人がいたら……って、もうそんなこと言える年じゃないんだけどね。
僕という人間に価値を感じなくても、王族に憧れる女性や子供を王族と結婚させたい人はたくさんいる。
こんな僕でも行き遅れるより家同士の架け橋に使ってもらった方が家族や国のためになると思わない?

ティムは思い詰めたような表情を隠すようにイム茶を飲み干した。
そんな顔したらせっかくのお菓子もまずくなるし、自分に価値がないなんて悲しいこと言わないでよ。
イム茶ってね、ストレスの回復にすっごく効くんだから!

……この国は人口が多い分出会いやおせっかいな人も多いから、長い間家にいると色々言われるんだよ。
望まなくても王家に生まれた以上いつかは結婚しないといけないから

それってただの政略結婚じゃない!
あたしの国じゃ独身でも仕事や武術を頑張ってる人はいっぱいいたし、試合に勝って結婚は取り止めって選択肢はないの!?
そうだ、あたしと一緒に旅しない? 旅に出たら誰もうるさく言わないし、考えだって変わるかもよ!

あたしには家庭の事情とか、年頃の王子様の悩みなんてわからない。
好きな人と結婚して家族が喜んでくれるならまだしも、使ってもらうって何?
あたしには他人の生き方に口出しする権利なんてないけれど、せっかく出会えた以上ティムの力になりたい。
自分を犠牲にしてまで誰かのために生きて、誰かが幸せになるならそれが幸せって、ティムは物じゃないんだからもっと自分のために生きてよ……

……僕は「王族」だから。
勝手に家を出たり国を離れるなんて絶対に許されないし、一国民として民に寄り添うのがこれからの僕の役割。
強さや特別な才能も、シズニの知識や人を惹きつける力もない以上、弟たちのようには生きられないから

答えになってないんですけど!
さっきから王族とか弟とかさぁ……身分を言い訳に逃げてるだけじゃん!
そんなこと言うんだったら王族なんてやめちゃえば!

イム茶を入れたカップにどこからか水滴がぽたりと落ちる。
ここで初めて自分が泣いていたことに気づいた。

レリアさん、大丈夫?
ごめんね、心配してくれたんだよね……

ぐすっ……あんたといてもつまんないの。
王族やめて家出ろとか冗談だから、さっさと試合に負けて結婚でも何でもすれば!
……あんたの結婚式なんか絶対台無しにしてやるんだから

ふふ……レリアさんって面白いね、君に叱られてちょっと元気が出てきたかも。
ダメだ、君の顔を見ているだけで……ぷっ

補足しておくけど、あたしがいたプルトじゃ結婚式に反対する人がいたらいつも邪魔が入ったから。
当たり前だけど主役が遅刻すれば婚約は破棄されるし、そこから破局、略奪なんてドロドロの展開もあった。
あたしが乱暴なわけじゃないから誤解しないでね。

市場で出会って以来ずっと、話していてもなかなか目を合わせてくれなかったのに、ティムはあたしの方を見るなり肩を震わせて笑い始めた。
ちらちらとこちらを見ては笑いをこらえようと、両手で口元を隠したりテーブルに顔を伏せたりと……でも結局我慢できなかったみたいで、もう一度あたしの顔を見ると思い切り吹き出した!

偉そうなこと言ってごめん、王族ってあたしが思ってる以上に大変なんだよね。
なんか説教くさくなっちゃったし、気晴らしに外で体動してこよっと!

待って。プルトってさ、成人すると国民全員が武術職に就くんだよね?
レリアさんは何してたの?

あたし? ジマショルグに入る予定だった!
色々あって成人式は出られなかったけど、技は父さんが教えてくれたから!

ショルグ長だった父さん直伝の技を見せようと、軽く拳で空気を切って、一回転してから右手を高く振り上げる。
このまま相手をKOできたら決めポーズを取るのもいいかも。

面白い構えだね。プルトの人はそんな風に戦うんだ。
よかったらもっと見せてくれる?

いいの? じゃあとっておきの必殺技いくよ~!
最・終・奥・義……

……部屋の中だったけど、笑顔で拍手してくれるティムにいいところを見せたかったし、褒められるとどんどん調子に乗っちゃうせいで止められなかった。
必殺技だとか最終奥義というのは冗談で、成人してジマに来たら誰でも使えるようになる基本技・ヘヴィブルーズの構えを取った。
(これしか使えないのは内緒)
開いた窓から入ってくる風を吸い込んで拳から一気に放しゅ……
あれ? 今何か横でパリンって……

わーーー! なんか高そうな壺割っちゃった!?
ど、どうしよ……

触らないで! 僕がなんとかするからそこで待ってて!
困ったな、父さんに何て言おう……

ティムはこんなときでも冷静で、掃除道具を取ってくると部屋を出てから待つこと1刻。
ここから動くなって言われたけどすごく心配になってきた。
あたしのせいなのにお父さんに怒られちゃったりして……

ちょっと待って、ティムのお父さん?
さっきお父さんが国王だって言ったよね!?
あたし、入国早々とんでもないことしちゃったかも……


【次回予告】
ティムの弟であるアンテルムとアンガスに出会ったPCレリア。
城で割ってしまった壺の代償としてオスキツ陛下からティムの専属コーチを任されることになったものの、彼はいまいち乗り気ではなく……

次の記事>>>第2話:ティムの弟たち

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次の話はこの下だよ!
ティムもアンテルムもアンガスも、やっぱり王族って変な人ばっかりかも!

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*1:プルトで子供のパスを発行し、エルネアに移住させると成人します。